ちばあきおさん、ありがとう。

千葉の実家にいた頃、キャプテンの漫画を読んだ。まだ小学生だったと思う。その時はそれで終わった。それから数年が流れ、自分が高校で野球を辞めてしまった時、頭が変になって近所の森の中をひたすら走っていた。トレーニングのためではない。ただ頭のモヤモヤを吹っ切るために走っていた。今だったら、もう一度野球部に復帰するという選択肢もあったろう、でも当時はそれだけの事が頭に浮かばなかった。苦しかった。すべてが終わっていた。そんな時、今まで行ったことのない近所の本屋に立ち寄った。そこで、プレーボールという漫画を買って帰った。家に帰って読みはじめ、そして叫んだ。「えー谷口くんじゃないか。」野球のできない体になった谷口君の高校時代の話しだったのだ。知らずに読みはじめた自分はあまりの驚きに久しぶりに興奮してしまった。
自分も野球を辞めていたので、谷口君に自分を重ねそして、やがて、自分ももう一度部活に入った、野球ではなくサッカー部に入った。これは谷口君の真似をしたわけではない。単なる偶然の出来事。でも漫画の中の谷口君に自分は等身大で勇気づけられた。そんな中、作者が自らの命をたったというニュースが飛び込んできた。
えーどうして。という気持ちしかなかった。
あれから40年近くなるが今でも谷口君は僕の心の中で生き続ける。ありがとう、ちばあきおさん。

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